郊外
- Suburb
- 更新日
- 2024年03月11日
一定規模以上の人口を有する都市の外縁部地域。1900年代以降の鉄道沿線開発により多く形成された。郊外の発展は爆発的な人口増加や都心部の環境悪化、モータリゼーションや通信技術の発達によるSOHO化、またはエベネザー・ハワードの田園都市の影響を受けたニュータウンの開発など、さまざまな要因が考えられる。日本では、特に高度経済成長期に、鉄道で都心に通勤する人たちの住宅が沿線に広がり、郊外が形成された。また、80年代には地価高騰を理由に、さらに都心部からの人口流出が加速する。その結果、郊外に人口が集中するドーナツ化現象が起こり、生活圏においてモータリゼーションに頼った無秩序な都市開発のなかで、ロードサイドの大型店舗が氾濫する原因にもなった。このような郊外化の過程においては、緑豊かな庭と自家用車付きの一戸建てに住む核家族のイメージの流布による影響も見逃せない。2000年代以降は、地価の下落によって、都心に多く造られた分譲マンションに、郊外の住人が移り住む傾向にあり、過疎化が進むニュータウンも存在する。また、郊外のニュータウンは、特定の時期に一度に開発されることから、住人の年齢層にばらつきが少なく、住人の高齢化が問題になっていることも少なくない。
補足情報
参考文献
『郊外の社会学 現代を生きる形』,若林幹夫,ちくま新書,2007
『東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム』,東浩紀、北田暁大,NHKブックス,2007
『郊外住宅の形成 大阪-田園都市の夢と現実』(INAX album 10),安田孝,INAX出版,1992
『郊外都市論』(SD選書),H・カーヴァー(志水英樹訳),鹿島出版会,1969
『都市に住みたい 何故日本人は郊外に住むのか』,宮脇檀,PHP研究所,1992