コミュニティデザイン
- Community Design
- 更新日
- 2024年03月11日
コミュニティの力が衰退しつつある社会や地域のなかで、人と人のつながり方やその仕組みをデザインすること。施設や空間を具体的につくるのではなく、ワークショップやイベントといった「かたち」のないソフト面をデザインの対象とすることで、コミュニティを活性化させる。人口が減少し、新築の公共施設が建てにくくなる2000年代における日本社会の変化のなか、自らの肩書きを「コミュニティデザイナー」とする山崎亮(1973-)によって、広く知られることになった。山崎はコミュニティデザインを専門的に行う事務所Studio-Lを主宰し、全国各地でその設計活動を展開している。コミュニティデザインと呼ばれる仕事の領域は多岐にわたる。高齢化の進む集落における環境整備を兼ねた観光アイディアの提案、小規模町村における総合計画をつくるためのワークショップの組織、もしくは、県立公園や都市部のデパートを複数の活動団体が有効に活用するための運用計画の作成などだ。また、例えば、宮崎県延岡市の駅舎と駅前広場のリニューアルでは、コミュニティデザイナーである山崎と、建築家の乾久美子(1969-)の協働が行われた。山崎が市内のさまざまなコミュニティの活動を誘致しながら、新しい施設に対する住民の要望を集約するワークショップを開き、その要望を実現しうる空間を乾が設計する、といったように、ハードとソフトの両側面からコミュニティのデザインが試みられている。
補足情報
参考文献
『コミュニティデザイン──人がつながるしくみをつくる』,山崎亮,学芸出版社,2011
『コミュニティデザインの時代 自分たちで「まち」をつくる』,山崎亮,中央公論新社,2012
『まちへのラブレター 参加のデザインをめぐる往復書簡』,山崎亮,乾久美子,学芸出版社
『コミュニケーションのアーキテクチャを設計する―藤村龍至×山崎亮対談集 (建築文化シナジー) 』,藤村龍二,山崎亮,彰国社