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コレクター

Art Collector
更新日
2024年03月11日

収(蒐)集家。収集活動を行なう母体は個人から国家まで幅広いが、通常「コレクター」といわれるときに想定される対象は、組織から独立してコレクションを行なう個人収集家のことである。歴史上で収集行為が表面化した重要な事例としては、ルネサンス期のヨーロッパ王侯貴族による珍品収集の流行、およびその展示室としての「驚異の部屋」(ヴンダーカンマー)がある。保存、公開、調査研究を目的とする美術館のコレクションとは異なり、個人の場合は趣味やアーティストのサポート、投資など目的は多様である。また個人コレクションから出発したニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめ、個人コレクションと公的機関のコレクションは厳然と分けられるものではない。個人コレクションが一般の目に触れる機会は限定的だが、展覧会に出品されたり、コレクターのヴューイング・ルームで公開されることもある。組織内での審議を経ないため迅速な収集活動を行なうことができること、収集後の売却を自由に行なうことができることなども特徴といえよう。アートフェアが国際的なイヴェントとなりマーケットが拡大した現代において、巨大な資本を有する個人コレクターはときにアーティスト、ギャラリー、美術館よりも美術動向に影響力を持つ存在であり、大コレクターのコレクションが美術館の展覧会として紹介されることも一般化しつつある。イギリスにおいて一、二を争う資産価値といわれるコレクションを持つダミアン・ハーストなど、今日ではアーティストが大コレクターである場合も少なくない。アメリカの『ARTnews』誌は例年「世界のトップアート・コレクター200人」特集を組んでおり、日本からは大和プレスの佐藤辰美、ベネッセコーポレーションの福武總一郎らが継続的にランクインしている。

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補足情報

参考文献

「あるサラリーマン・コレクションの軌跡」展カタログ,三鷹市美術ギャラリー,2003
「アートがあれば WHY NOT LIVE FOR ART?」展カタログ,東京オペラシティアートギャラリー,2004
「アートがあればⅡ」展カタログ,東京オペラシティアートギャラリー,2013
「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」展カタログ,東京国立近代美術館ほか,2014