コンピュータ音楽
- Computer Music
- 更新日
- 2024年03月11日
コンピュータを用いて制作・演奏される音楽のこと。その意味では、最終的な音響処理や録音処理でコンピュータを使うすべての音楽はコンピュータ音楽であり、現在私たちが耳にするほとんどすべての音楽が含まれる。音楽家の三輪眞弘に従い、コンピュータ音楽を(1)リアルタイム/(2)ノン・リアルタイムに、(A)作曲/(B)音響処理の段階で、コンピュータを用いる音楽として分類してみたい。1-A:リアルタイムに音響を生成変化させるインタラクティヴなサウンド・インスタレーションで使われる音楽など。1-B:コンピュータを使うライヴ・エレクトロニクス、あるいはいわゆるラップトップ・ミュージック。2-A:作曲補助ツールとしてコンピュータを使う音楽、あるいはいわゆるDTM(desk top music)。2-B:コンピュータを用いて音響を合成して作られる音楽、あるいはほとんどすべての録音される音楽。コンピュータ音楽とはこれら4つの音楽を指すと言えよう。分類はあくまで便宜的なものであり、実際にはさらに複雑に組み合わされて用いられている。
コンピュータを使う音楽の起源は50年代に遡る。当時のメインフレーム・コンピュータはリアルタイムに操作できなかったので、上記1-Aと1-Bが登場するのは60年代以降である。最初のコンピュータ音楽は2-Aで、ヤニス・クセナキス《メタスタシス》(1954)やレジャレン・ヒラーとレオナルド・アイザックソン《弦楽四重奏のためのイリアック組曲》(1957)が作曲補助ツールとしてコンピュータを使った。また初めて2-Bが可能になったのは1957年で、ベル研究所のマックス・マシューズとジョン・ピアースがプログラミング言語「Music I」を用いてコンピュータによる音響合成に成功した。その後60年代半ばまで、コンピュータ音楽の歴史はベル研究所を中心に展開することになった。
補足情報
参考文献
Electric Sound: the Past and Promise of Electronic Music,Joel Chadabe,Prentice Hall,1997
Electronic and Experimental Music (2nd editioin),Thomas B. Holmes,Routledge,2002
『日本の電子音楽』(増補改訂版),川崎弘二編著,愛育社,2009
Electronic and Computer Music (Revised and Expanded Edition),Peter Manning,Oxford University Press,2004
『コンピュータ・エイジの音楽理論』,三輪眞弘,ジャストシステム,1995