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更新日
2024年03月11日

広義の「作品」の制作者、あるいはその帰属者を指す。とりわけ20世紀において、この「作者」という概念はそれまでとは異なった仕方で主要なトピックのひとつとなった。

「作者」という概念が批評理論における中心的な議論の対象となったのは1960年代のことである。ロラン・バルトの「作者の死」(1968)やミシェル・フーコーの『作者とは何か?』(1969)は、そうした議論を牽引した代表的な著作である。しかし言うまでもなく、「作品」と「作者」との関係を問い直す意図をもった作品はすでにそれ以前から数多く存在していた。美術においてもそれは例外ではなく、ある意味ではマルセル・デュシャン以降の現代美術の展開そのものが、通俗的な意味での「作者」という概念の問い直しであったとすら言うことができる(ポップ・アート、コンセプチュアル・アート、リレーショナル・アートなど)。今日においても作品の帰属先としての「作者」をめぐる議論はさまざまな場所で勃興しているが、その多くはロマン主義以降に特権化された「作者」と、それに対する批判としての「作者の死」という構図を保っているように思われる。

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補足情報

参考文献

『作者とは何か?』,ミシェル・フーコー(清水徹+豊崎光一訳),哲学書房,1990
『物語の構造分析』,ロラン・バルト(花輪光訳),みすず書房,1979