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サンプリング

Sampling
更新日
2024年03月11日

音楽用語で、ある録音された楽曲や音源の一部を切り出し、それを新たな楽曲の一部として用いる手法を指す。また録音物に限らず、環境音をサンプラーと呼ばれる機器によって録音、加工する行為もこれに含まれる。サンプリングは、1980年代以降ヒップホップやクラブ・ミュージックなどにおいて多用されるようになる。美術においてもそれらと並行、ないしそれらから影響を受けるかたちで、サンプリング的な手法がしばしば用いられるようになった。その代表的な作家として、過去の映画などのシーンをみずから再演したシンディ・シャーマン、ピカソの《アヴィニョンの娘たち》をはじめとする美術史上の名作をほぼ完全に模倣したマイク・ビドロなどを挙げることができる。彼らの作品は、しばしば一括して「シミュレーショニズム」と呼ばれる。「シミュレーショニズム」の作家たちの営為は広い意味での「引用」に含めることができるが、その作品の特徴として、「引用」に際するより複雑な操作や、その過度に露悪的な傾向などを挙げることができる。椹木野衣の『シミュレーショニズム』(1991)は、以上の動向をカットアップ、サンプリング、リミックスという3つの音楽的手法を軸として論じた重要な著作である。

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補足情報

参考文献

『増補シミュレーショニズム』,椹木野衣,筑摩書房,2001

参考資料

The Complete Untitled Film Stills,Cindy Sherman,MoMA,写真集,2003

ジェノサイドの筆跡,梅沢和木,2009
Untitled Film Stills,1977-1980,シンディ・シャーマン,1977-1980
これはピカソではない(アヴィニョンの娘たち,1907),マイク・ビドロ,1984