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- 更新日
- 2024年03月11日
ものや情報を専有、私有するのではなく、他者と共有すること。例えば、「カーシェアリング」とは、登録会員間で自動車を共有することにより、維持管理のわずらわしさやコストを抑えながら、必要時には気軽に使用できるサービス、あるいは所有形式である。もともとは1970年代のスイスに生まれたものであり、2000年代以降の日本でも普及するようになった。評論家の三浦展(1958-)は、シェアを20世紀後半における大量生産・大量消費、および個人所有と対比的に位置づけ、2000年代後半-2010年代の日本における新たな消費の形態とする。また、この時期には、建築業界においても、フリーアドレス式の作業デスクや打ち合わせスペースを共有する「シェアオフィス」、さらにはトイレやキッチンといった水回り、居住者が集まって団欒できるリビングルームを共有する「シェアハウス」などに対する注目が高まった。特にシェアハウスは、老人の孤独死に象徴される都市居住者のつながりの希薄化への問題関心を背景として、2000年代中盤以降、その数の増加が顕著となった。シェアハウスの特徴としては、その大部分が新築ではなく、既存のアパートや戸建住宅をリノベーションしたものである点が挙げられる。このことから、建築におけるシェアとは、高度経済成長期からバブルを経て、大量に蓄積された建築ストックを有効に活用するための手法としても位置づけられる。
補足情報
参考文献
『シェアをデザインする 変わるコミュニティ、ビジネス、クリエイションの現場』,猪熊純,成瀬友梨,門脇耕三
『第四の消費 つながりを生み出す社会へ』,三浦展,朝日新聞出版,2012