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写真賞

Photo Prize
更新日
2024年03月11日

日本には企業や自治体、写真団体が創設した写真賞が数多く存在する。数え上げればきりがないが、公募による新人の登竜門としては、リクルートのガーディアン・ガーデンによる「1_WALL」展、キヤノンによる「写真新世紀」などがある。そのほかにも日本写真協会による「日本写真協会賞」や日本写真家協会による「名取洋之助写真賞」「笹本恒子写真賞」、ニコンによる「伊奈信男賞」「三木淳賞」、自治体によるものでは「写真の町東川賞」や「さがみはら写真賞」「林忠彦賞」などがある。朝日新聞社と朝日新聞出版が主催する「木村伊兵衛写真賞」は、各年に発表された作品を対象にした新人賞的な賞だ。他方、毎日新聞社が主催する「土門拳賞」は、ドキュメンタリー色が強く、受賞作品は土門拳記念館に収蔵される。また、写真評論家の西井一夫ら有志によって設立された「写真の会」賞は、写真家だけでなく、印刷や編集などを含めた幅広い写真行為に対して贈られるという特徴がある。1999年から始まったコニカミノルタによる「フォト・プレミオ」(前身は「コニカ写真奨励賞」)は、2017年でその歴史に幕を閉じることとなったが、国内にこうしたすぐれたカメラメーカーが存在したことが、写真賞の設立とそれにともなう作家の発掘につながってきた側面がある。個人名が冠された賞は、その作家の活動を顕彰するためのものであることは言うまでもないが、戦中から戦後にかけて「報道写真」に関わってきた面々が多いのが特徴的だ。彼らは戦中期に政府機関や軍部から依頼を受けた対外宣伝に従事し、戦後は作家として活動するなかでアマチュアの育成や写真文化の普及に貢献してきたという経歴を持つ。戦後日本が「カメラ大国」化していく歩みのなかで、こうした写真家たちの仕事が顕彰されてきたのである。

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参考文献

『木村伊兵衛写真賞の20年』,アサヒカメラ編集部編,モール,1995
『戦争と平和 〈報道写真〉が伝えたかった日本』,白山眞理、小原真史,平凡社,2015
「木村伊兵衛写真賞の軌跡 1975-1999」展カタログ,川崎市市民ミュージアム,1999