シンプル
- Simple
- 更新日
- 2024年03月11日
「簡単な」、「単純な」、「簡潔な」を意味する形容詞(形容動詞)。美術やデザインや建築の分野では、構成要素が少ないこと。装飾を排除したモダニズム建築や構成要素を切り詰めた抽象美術、純粋化を極度に追求していったミニマル・アートなど、近代の建築や美術は「シンプル」という価値観と切り離せない。一方、近代デザインの歴史は「シンプル」の記号化、価値化であった。その先駆となったのはO・ノイラートらにより1920-30年代に開発されたアイソタイプ(単純かつ非言語的な情報伝達のためにデザインされたピクトグラム)であった。アイソタイプは70年代に開発されたグラフィカル・ユーザー・インターフェイス (GUI)、アップル社のコンピュータ、マッキントッシュが採用したアイコン操作によるインターフェイスなど、パーソナル・コンピュータの汎用化を通じて同時代や後世に与えた影響は大きい。現代において「シンプル」主義は狭義のデザイン分野にとどまらず、先進諸国でシンプル・ライフの象徴である「Zen(禅)」が広く支持されるなど、「シンプル」の思想化、価値化が進められている。いずれにせよそこに通低するのはシンプル=わかりやすさのモード化である。
補足情報
参考文献
From Hieroglyphics to Isotype: A Visual Autobiography,Otto Neurath,edited by Matthew Eve and Christpher Burke,Hyphen Press,2010