ジェミナイG.E.L.
- Gemini G.E.L.
- 更新日
- 2024年03月11日
1966年にプリンターのケネス・タイラーが共同経営者のシドニー・フェルゼンとスタンリー・グリンスタインとともにロサンゼルスに設立した版画工房(G.E.L.は、グラフィック・エディションズ・リミテッドの略)。タマリンド・リトグラフィーのテクニカル・ディレクターを務めていたタイラーが65年に独立して始めたジェミナイLtd.がその前身。ヨーゼフ・アルバースのような大家のほか、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、ロイ・リキテンシュタイン、デイヴィッド・ホックニーなど、当時の若手の人気作家を積極的に工房へ招き、彼らとの共同制作を通じて60年代から70年代にかけてのアメリカにおけるプリント・リヴァイヴァルを牽引する存在となった。もともと工房の主流はリトグラフィーであったが、クレス・オルデンバーグの三次元作品《プロフィール・エアフロー》(1969)を手がけたことでエディション彫刻(マルティプル)の分野を開拓。70年代以降も作家たちの新しい版画技法への関心に応えて、スクリーンプリント、エッチング、木版のための設備を充実させた。タイラーはその後再び独立して75年にタイラー・グラフィックスを設立。81年、残った二人の経営者と作家たちの寄贈によりワシントン・ナショナル・ギャラリーにジェミナイG.E.L.アーカイヴが設けられた。
補足情報
参考文献
Gemini G.E.L.: Art and Collaboration (exhibition catalogue),Ruth E. Fine,Abbeville Press,1984
「現代アメリカ版画の断面・作家と工房 GEMINI G.E.L. Art and Collaboration」展カタログ,国立国際美術館編,国立国際美術館,1989