自家現像(映像)
- Hand-processing
- 更新日
- 2024年03月11日
撮影・露光したフィルムを現像所でではなく作家自らの手で現像すること。多くの場合、現像所にあるような設備・機械を使わず、自宅の台所や浴室を暗室にし、写真のネガや写真プリントを現像する道具やバケツなどの容器を使って現像する。したがって、現像時に映像のムラや傷が生じやすいが、「Lomo UPB」や「Morse G-3」などの現像タンクを使うことにより、50フィートや100フィートのフィルムを傷つけることなく現像できる。自家現像は現像所での現像、プリント制作費用と比べると割安であるという理由だけでなく、現像過程で映像を加工したり、映像のムラや傷によってフィルムの物質性を表現できるという利点がある。また制作過程をすべて作家の手で行なうことにより、作品をよりパーソナルなものにする目的で行なわれることもある。近年の代表的な作品にデイヴィッド・ガテンの『Hardwood Process』(1996)、ペーター・チェルカスキーの『Outer Space』(1999)、ベン・リヴァースの『Ah, Liberty!』(2008)、ジョン・プライスの『sea series #1-10』(2008-11)などがある。日本では太田曜、奥山順市、末岡一郎、能登勝、水由章らが多くの自家現像作品を発表している。