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水彩画

watercolour(英), aquarelle(仏)
更新日
2024年03月11日

広義には水溶性展色剤で練った顔料で制作した絵画(日本画を含む)を指すが、一般にはより狭義に、顔料とアラビアゴムを練り合わせた水溶性の絵具による絵画技法、またはその技法による作品を指す。透明水彩と不透明水彩(グアッシュ)に分けられ、前者のみを指すこともある。乾きが早くスケッチ、戸外制作に向く。単色でなく色彩を豊富に使った初期の作例は製紙法が伝播して間もない15世紀末頃の西欧に見られ、18世紀から19世紀初頭のイギリスで大きな発達を遂げる。代表的な画家にP・サンドビー、J・カズンズなどがおり、特に18世紀末のJ・ターナーは水彩画を油彩に劣らない質に高めた。1804年イギリスに伝統水彩画協会が創設されたのを機に、この頃から展覧会の出品作としても認知され始めた。日本においては明治時代初頭にC・ワーグマンを介してイギリス流の透明水彩が導入されて広まった。大下藤次郎による日本初の水彩画指導書『水彩画の栞』(1902、明治35年)を皮切りに、水彩画専門誌『みづゑ』の創刊(1905)、水彩画研究所の開設(1907)、日本水彩画会創立(1912)など明治末期は「水彩画の時代」といえる大ブームが起こり、大下や三宅克己など水彩画専門画家が登場する日本特有の状況を生んだ。多くの技法書出版によるアマチュアの増大などもあり大正時代に入ってブームは終息するが、技術とともに近代的な写実の観念が流入、浸透した点に重要性があり、日本の洋画受容および近代化において水彩画の果たした役割は非常に大きい。

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参考文献

『近代日本の水彩画』,酒井忠康,岩波書店,1996
『水彩画 みづゑの魅力──明治から現代まで』,土方明司監修,青幻社,2013