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装飾

Decoration, Ornament
更新日
2024年03月11日

飾ること。美しく装うこと、またその装いや飾り。ornamentはある造形物をより魅力的に見せるdecorationのための付加物であり、それ自体は機能をもたずとも視覚を通じて美的な快感情を引き起こす。古来、装飾は工芸的価値をもってきたが、モダニズムのデザインが機能主義やシンプルさを至上価値とすることで、装飾は否定的に扱われるようになる。例えばO・ワーグナーは機能主義の見地から「芸術は必要にのみ従う」と主張し、A・ロースは手工業的なウィーン分離派、ウィーン工房に反対する立場から論文「装飾と犯罪」(1908)の中で装飾の不純性、不道徳性を批判した。また、ル・コルビュジエは『今日の装飾芸術』(1925)において近代における装飾の欺瞞を指摘し、装飾を廃した工業製品の合理性を礼賛した。日本の近代建築においては佐野利器が反装飾を貫き、合理性、機能性を主張することで芸術的、思想的要素の排除に向かった。とはいえ装飾は地域により偏差をもちながら様式化する。反装飾をもっぱらとした近代の造形物もまた趣味判断を免れえず、そもそも造形物というものは物質と形態をもたざるをえないことから、近代建築もまた装飾に代わる趣味的な価値を必要とするだろう。

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参考文献

『装飾と犯罪 建築・文化論集』,アドルフ・ロース(伊藤哲夫訳),中央公論美術出版,2011
『今日の装飾芸術』,ル・コルビュジェ(前川國男訳),鹿島出版会,1966