〜族(太陽族/みゆき族/竹の子族)
- Zoku(Taiyo-zoku/Miyuki-zoku/Takenoko-zoku)
- 更新日
- 2024年03月11日
太陽族は、1955年に発表され翌年単行本化された石原慎太郎の小説『太陽の季節』に由来し、主に石原慎太郎や弟の裕次郎をまね、サングラスにアロハシャツ、髪は慎太郎カットというスタイルの当時の若者たちを指す。男性だけではなく女性もおり、マンボスタイルや柄物のショートパンツに、映画『緑はるかに』の浅丘ルリ子をまねた髪型が代表的なスタイルである。みゆき族は、64年夏の銀座みゆき通り周辺に集まった若者たちに付けられた名称である。頭にハンカチを巻き、ロングスカート、腰から長いリボンを垂らし、色の濃いストッキングとローヒールを履き、「フーテンバッグ」と呼ばれた大きな麻袋を携帯するというのが女性の特徴的ファッションだった。男性は、正統派アイビーをやや着崩したスタイルのアイビー派とヨーロッパ調のコンチ派に分かれていた。同年9月になされた一斉補導により、みゆき族自体は、秋には跡かたもなく消えていった。竹の子族とは、79年夏に原宿の歩行者天国に出現した派手なファッションで踊る若者たちの名称で、トレードマークのハーレム・スーツがブティック竹の子のオリジナルであったことから、その名が付けられた。
上記三つのほかにもアンノン族、暴走族、カラス族など、「〜族」と名付けられた集団や現象はこれまで数多く存在した。現在では「〜族」よりもむしろ、B系やギャル系といった「〜系」がより一般的な括り方となっている。社会学者の難波功士は『族の系譜学』のなかで、「〜族」が対面的な場での構成員同士の認証に基づき、集合的なアイデンティティを立ち上げていくプロセスを有するものであるのに対し、「〜系」にはそのようなプロセスがなく、単に特定の商品群やコンテンツ群にアクセスするか否かという点だけが問われていると、両者の違いを説明している。
補足情報
参考文献
『族の系譜学 ユース・サブカルチャーズの戦後史』,難波功士,青弓社,2007
『ストリートファッション1945-1995 若者スタイルの50年史』,アクロス編集室編,PARCO出版,1995
『「族」たちの戦後史』,馬渕公介,三省堂,1989