団地
- Housing Complex
- 更新日
- 2024年03月11日
「団地」とは本来、「集団住宅を新しく建て、学校・病院などをも併せ設けた土地」を指すもので、もともとは住宅技術者の専門用語であった。公団住宅の登場を機に国民の日常語となり、学校も病院も、あるいは商店街さえ併せ設けていないところまで団地と呼ばれるようになり、団地居住者のモダンなライフスタイルに対する憧れから、「団地族」という言葉まで生まれた。団地の発祥は戦後に遡る。昭和30(1955)年、都市部における住宅難を背景に日本住宅公団が発足し、翌年には東京・大阪を中心に29団地が建設された。このとき導入された2DKプランが食寝分離、就寝分離を促し、各戸それぞれが独立の台所、便所、浴室を備え、3時間日照が確保されるなど、当時の国民生活の近代化をリードするものであった。特に「千里ニュータウン」は近隣住区理論や歩車分離なども取り入れられ、日本で最初の本格的なニュータウンであると言われており、その後の住宅団地計画のモデルとなった。このように団地の登場は、戦後から高度経済成長期にかけて人々の生活にあらゆる面で大きな影響を与えたことは事実であるが、現在では少子高齢化の影響により、付近の小学校では空き教室が目立つなどのオールドタウン問題、空家の増加によるゴーストタウン化、建物そのものの老朽化など、多くの問題点も生じている。
補足情報
参考文献
『団地』,埜沢宏,真珠書院,1964
『これからの住宅団地』,山地英男,清文社,1977
『大都市の共同生活 マンション・団地の社会学』,倉沢進,日本評論社,1990
『都市の暮らしの民俗学3 都市の生活リズム』,新谷尚紀、岩本通弥,古川弘文館,2006