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デザインビルド

Design-build
更新日
2024年03月11日

建設産業において設計(design)と施工(build)の責任を単一の事業者またはJV(共同企業体)などの協力チームが一元的に担う建設調達方式のこと。DB方式。設計施工一括発注方式と同義として用いられることもあるが、設計者と施工者の関係や携わる内容・期間に応じて呼称が変化し、語義も定かではない。本項では日本におけるデザインビルドに関して言及する。デザインビルドとは反対に設計と施工の責任が設計者と施工者それぞれに明確に分かれ発注者が両者と別々に契約する発注方式を、設計施工分離発注方式と呼ぶ。デザインビルド方式では設計期間と施工期間がオーバーラップするため、コストの低減と工期の短縮が可能とされる。民間ではこれまでにもデザインビルドが採用されてきたが、公共建築では基本的に設計施工分離発注方式が採用されてきた。しかしながら、近年の建設コストの高騰や入札不調などを背景とし、東京都のオリンピック関連施設をはじめデザインビルドが採用されるケースが増加している。一方で、デザインビルドは設計者と施工者間の相互的なチェックが困難であるなどの懸念がある。1968年の鹿島論争や2015年の新国立競技場第2回コンペに関する議論では、設計・施工の分離によって設計業の独立を志向する建築家と、設計・施工の一体化によって円滑なプロジェクト実施を志向するゼネコンとの間に対立的な構図が見られた。

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参考文献

『入札契約適正化法に基づく実施状況調査の結果について』,国土交通省
『1996年度日本建築学会関東支部研究報告集』,「デザインビルドの方式分類の諸説について」,江口禎、渡辺光示,日本建築学会関東支部,1997
『建築ジャーナル』2015年9月号「特集=なぜ、いまデザインビルド?」,建築ジャーナル社,2015
『新建築』2017年5月号,「金のガチョウを殺してはならない──デザインビルドは悪魔の技か」,小野田泰明,新建築社,2017