東京府美術館
- Tokyo-fu Bijutsukan
- 更新日
- 2024年03月11日
東京・上野公園内にある現在の東京都美術館の前身。1926年5月、東京府美術館として開館した。建築家岡田信一郎の設計で、石貼りの壁面、正面入り口手前の大きな階段を特徴としていた。コレクションを主な目的とはしておらず、公募団体のための貸会場として出発した。日本にはそれまで仮設的な展示施設しか存在しておらず、公募団体のための美術館の建設は多くの美術家たちの悲願でもあった。福岡出身の実業家佐藤慶太郎の寄付金によって、その建設が可能となり、初めての恒常的な美術展会場が実現した。以来、約半世紀にわたって、帝展などの官設公募展、二科展、院展をはじめとする多くの在野公募団体の展覧会場として親しまれた。また、企画展としては、26年の第1回聖徳太子奉賛美術展覧会、27年の明治大正名作展、40年の紀元二千六百年奉祝美術展覧会などを行なった。43年に東京都美術館と改称し、戦後は、47年から続く日本アンデパンダン展、49年から53年までの読売アンデパンダン展、70年の人間と物質展(第10回日本国際美術展)の舞台にもなった。だが、老朽化のために建替えられ、75年に前川國男設計による東京都美術館新館(現在の東京都美術館)が開館した。
補足情報
参考文献
「東京府美術館の時代」展カタログ,東京都現代美術館,2005
『佐藤慶太郎伝 東京府美術館を建てた石炭の神様』,斉藤泰嘉,石風社,2008