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トランスポーテーション・デザイン

Transportation Design
更新日
2024年03月11日

陸海空の公共交通はもとより、ベビー・キャリー、車椅子、歩行アシストのような特殊なパーソナル・モビリティまで、人間の身体移動に供するさまざまな事象の計画・設計・デザインを総称して「トランスポーテーション・デザイン」と言う。その対象は極めて広範囲にわたり、個々のインダストリアル、それらに関わる空間・環境、グラフィックス、サーヴィス、そして総合的な交通システムにまで及ぶ。誰しもが思い浮かべる「鉄道」ひとつを取っても、車両、駅舎とその付帯施設、サイン、広告、印刷物、利用・運行に関わる機器や制度、他のトランスポーテーションや都市計画との複雑な関わりなど、無数のモノ・コトによって成り立っている。そのいずれもが、高度なテクノロジーとユーザー視点の取り組みの賜物であり、安全・正確であることや、ハード・ソフト両面のデザインの普遍性、永続性などが最も求められる。また、厳しい法令の枠組みのなかで、最良の解が求められることも、この領域の特質だ。それだけに、簡単にはクリアできない課題も多い。わが国では、公共交通は「利用者」(乗客)ではなく、「交通事業者」(鉄道会社など)主体で設計され、しかも事業者のスタンスが「安全・正確・採算性・便利さ」を至上とするため、本当の意味で「エンド・ユーザー」(利用者)にやさしく、快適で、社会に貢献するデザインを達成しにくい点が指摘される。

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