トリミング
- Cropping
- 更新日
- 2024年03月11日
写真の画面から余分な部分を削除し、必要な一部分だけを切り出して構図を変更する処理のこと。印画紙の一部だけにプリントしてほかを余白にすることもある。余計な写り込みをカットしたり、縦横のアスペクト比を変更する際などに利用される。アンリ・カルティエ=ブレッソンがトリミングを嫌い、自らの写真がノートリミングであることを示すために画像の周りに黒い縁どりを焼き付けたことはよく知られている。これは35ミリフィルムのパーフォレーション(フィルムの縁の穴)の影をわざと残してプリントすることで、撮影時にすでに完璧な構図が出来上がっていたことを示すものである。カルティエ=ブレッソンはロバート・キャパとともにマグナム・フォトを起ち上げるが、こうした写真エージェンシーの役割は作品掲載の際に勝手にトリミングされることを防ぎ、写真家の権利を守るためのものでもあった。それ以前は写真がデザイナーの都合で勝手にトリミングされることも多く、写真家の撮影時の意図を守ることは難しかった。
補足情報
参考文献
『フォト・リテラシー』,今橋映子,中公新書,2008
『逃げ去るイメージ アンリ・カルティエ=ブレッソン』,楠本亜紀,スカイドア,2001