日本インターナショナル建築会
- Nihon International Kenchiku-kai
- 更新日
- 2024年03月11日
1927年7月に関西を基盤にする建築家を中心に結成された近代建築運動グループ。京都の上野伊三郎の事務所において、上野、本野精吾、伊藤正文、石本喜久治、新名種夫、中尾保の6人によって結成された。会員としては正会員のほかに、客員会員、外国人会員、研究会員をおいた。客員会員には今和次郎や安井武雄などがおり、外国人会員としてはヴァルター・グロピウス、ブルーノ・タウト、ペーター・ベーレンスなどが名を連ねた。30年2月時点で、総会員数は187名に及んだ。会の活動としては、展覧会・講演会の開催、機関誌『インターナショナル建築』の発行(1929-33)、中尾や中西六郎による海外視察、そして33年5月に来日し、36年10月までの3年半にわたって滞在した、ドイツの建築家ブルーノ・タウトの招聘がある。これらの活動を通して、機能性と合理性を備える「インターナショナル」な建築の普及を目標としていた。「ローカリティ」というこの会の最も特徴的な独自の理念は、結成時に発表された綱領の第一項において謳われている。本野は『インターナショナル建築』創刊号の「宣言」および「綱領」の解説において、「ローカリティ」という概念を、「民族的地方色」と位置づけている。また、伊藤は日本固有の風土的条件である「ローカリティ」を、世界共通の「インターナショナル」な合理的手法を用いて解決することによって、「日本に於けるインターナショナル」な建築が実現するとした。
補足情報
参考文献
「『日本インターナショナル建築会』における本野精吾の活動と建築理念について」,笠原一人,日本建築学会近畿支部,2004
「『日本インターナショナル建築会』における伊藤正文の活動と建築理念について」,笠原一人,日本建築学会近畿支部,2003
「『日本インターナショナル建築会』における上野伊三郎の活動について」,笠原一人,日本建築学会近畿支部,2000
「戦前の日本における近代建築運動に関する研究 日本インターナショナル建築会について」,南他弘一,日本建築学会近畿支部,1996
『近代日本建築運動史』,本多昭一,ドメス出版,2003