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美術館

art museum/museum of art/museum
更新日
2024年03月11日

博物館のうち特に美術作品を専門に収集・保管・研究・展示公開する施設。「(アート)ミュージアム」のほか、「ギャラリー」「コレクション」の呼称が当てられる場合もあり、絵画館に対するピナコテーク(pinakothek)、彫刻館に対するグリュプトテーク(glyptothel)の名称もある。また、収集と保管を行なうことなく企画展だけで運営する「クンストハレ」(Kunsthalle)も美術館に含まれる。古代ギリシャにおける神殿の奉納画館、近世西欧における王侯貴族のコレクションなどに起源が求められるが、美術館の近代的・公的意義を確立した嚆矢は、フランス革命の啓蒙思想を背景に美術品を一般に公開したルーヴル美術館(1793開館)である。日本では、類似する施設として寺社の宝物館や絵馬堂などの先例も挙げられるが、幕末から明治にかけて美術館という概念が欧米から流入した。呼称としては第一回内国勧業博覧会(1877)で建設された美術展示館に用いられたのが最初の例。1929年にニューヨーク近代美術館がオープンして以来ホワイト・キューブの空間が一般化し、これに倣って創設された神奈川県立近代美術館(1951年開館)、東京国立近代美術館(1952年開館)の2館が後続の規範となった。社会教育法に基づいた博物館法(1951制定)に規定されている。

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参考文献

『新しい博物館学』,全国大学博物館学講座協議会西日本部会編,芙蓉書房出版,2008
『眼の神殿──「美術」受容史ノート』,北沢憲昭,美術出版社,1989
『美術館はどこへ──ミュージアムの過去・現在・未来』,暮沢剛巳,広済堂出版,2002
『東西美術論〈第1〉空想の美術館』,アンドレ・マルロオ、小松清訳,新潮社,1957
『美術という見世物:油絵茶屋の時代』,木下直之,平凡社,1993
『反美学──ポストモダンの諸相』,「美術館の廃墟に」,ダグラス・クリンプ、ハル・フォスター編、室井尚、吉岡洋訳,勁草書房,1987
「No Museum,No Life?──これからの美術館辞典」展カタログ,東京都近代美術館,2015