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美術館の原則と美術館関係者の行動指針

Principles of Art Museums and Action Guidelines of Officials Concerning Museums
更新日
2024年03月11日

美術館が担う社会的な使命を実践するために望ましい美術館のあり方と美術館に携わる者が取るべき行動指針を示し、内外に広く美術館への理解を図ることを目的とし、全国の国公私立美術館が加盟する全国美術館会議が策定し、2017年に提示した規範。全国美術館会議のウェブサイトに掲載されたほか、同名の小冊子にまとめられ加盟館および関係者に配布された。図書館における「図書館の自由に関する宣言」のような倫理規範が美術館になかったことが長らく問題視され、およそ20年にわたる関係者らによる検討を経て策定された。国際博物館会議(ICOM)の「職業倫理規程」に準拠した日本博物館協会による「博物館の原則」と「博物館関係者の行動規範」を参照しつつ、日本の美術館の実情に即した内容となっている。「原則」は11項目あり、それぞれに対応した「行動指針」11項目が定められている。「行動指針」は1.社会への貢献、2.多様な価値と価値観の尊重、3.設置の責任、4.自由の尊重と確保、5.経営の安定、6.収集・保存の責務、7.調査研究、8.展示・教育普及、9.研鑽の必要、10.発信と連携、11.法令・規範・倫理の遵守とされる。従来「博物館の4大機能」として知られていた「収集」「保存」「調査研究」「展示・教育普及」が含まれていることから、それをアップデートし取って代わるべき位置づけの指針として想定されていることが読み取れる。なお、全国美術館会議による5年ごとの見直しが付則により定められている。

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参考文献

『美術館の原則と美術館関係者の行動指針』,全国美術館会議,2017