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ファウンド・フッテージ

Found Footage
更新日
2024年03月11日

他の作家によって制作された既存の映像(フッテージ)を作品の全体または一部に使い、新しく作品を作る手法。使われる映像は劇映画だけでなく、記録映画、教育映画、ポルノ映画、テレビコマーシャル、防犯/監視カメラの映像など、さまざまである。代表的な作品に、ジョセフ・コーネルの『ローズ・ホバート』(1936)、複数のフッテージを利用したブルース・コナーの『A Movie』(1958)やギー・ドゥボールの『La Société du Spectacle』(1973)、映像の再撮影によって作られたケン・ジェイコブズの『Tom, Tom, The Piper’s Son』(1969)、コマ単位の編集によるマーティン・アーノルドの『Passage à l’acte』(1993)、コンタクトプリント技法を使ったペーター・チェルカスキーの『Dream Work』(2001)、ヴィデオゲーム「グランド・セフト・オート」の映像で構成したフィル・ソロモンの『Last Days In a Lonely Place』(2007)などがある。日本では、末岡一郎が『Ich bin der Welt abhanden gekommen』(2003)など、戦前のホームムーヴィーを素材としたフィルム作品を多数発表し、伊藤隆介はさまざまなフォーマットのファウンド・フッテージをコンタクト・プリント技法で制作した16ミリ作品シリーズ『版(Plate)』を発表している。また、2009年からロサンゼルスで行なわれている映画祭「フェスティバル・オブ・(イン)アプロプリエーション」ではファウンド・フッテージ作品だけを紹介している。

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