婦人雑誌
- Fujin Zasshi(Women's Magazine)
- 更新日
- 2024年03月11日
日本における雑誌のジャンルのひとつ。日本では、明治中頃に創刊された『女学雑誌』をはじめとする女性雑誌が一様に姿を消した1900年代以降、それらに代わるようにして、『婦人世界』(1906-33)、『婦女界』(1910-50)、『婦人之友』(1912-)、『主婦之友』(1917-2008)、『婦人倶楽部』(1920-88)といった雑誌が誕生した。こうした雑誌は、学校教育の普及にともなう読み書き能力の向上を背景として多くの読者を獲得するが、「婦人雑誌」とは、それらに与えられた総称である。現在では、「戦後の四大婦人雑誌」と言われ長命だった『主婦之友』、『婦人倶楽部』、『婦人生活』(1947-86)、『主婦と生活』(1948-93)のイメージからか、家事全般をめぐる実用的な情報を伝える主婦向け雑誌を指して「婦人雑誌」と言うことが多いが、当時にあっては、啓蒙的な内容の評論や文芸関連の記事を多く掲載するものもそう呼ばれた。婦人雑誌の多くは、しばしば、洋裁の知識や流行情報、あるいはそれらに関する識者の声を掲載しており、近現代の日本服飾の歴史を明らかにする上で欠かせない資料のひとつとなっている。ちなみに、服飾関連の主題に特化した雑誌が登場するのは、30年代後半のことである。
補足情報
参考文献
『お茶の水女子大学人文学部紀要』53号,「女性雑誌の歴史的分析」,坂本佳鶴恵,2000年3月
『近代日本の身装文化 「身体と装い」の文化受容』,高橋晴子,三元社,2005
『お茶の水女子大学人文科学研究』第6巻,「洋装化と女性雑誌 戦前の関与について」,坂本佳鶴恵,2010年3月
『〈主婦〉の誕生 婦人雑誌と女性たちの近代』,木村涼子,吉川弘文館,2010
『都市文化研究』12号,「日本における『ファッション誌』生成の歴史化 『装苑』から『アンアン』まで/『ル・シャルマン』から『若い女性』まで」,井上雅人,大阪市立大学大学院文学研究科都市文化研究センター,2010年3月