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分割主義(ディヴィジョニズモ)

Divisionismo(伊)
更新日
2024年03月11日

1880年代後半から1900年代初頭にかけて、イタリアのミラノを中心地として興った絵画の流派。筆触分割の手法で描いた点において、しばしばフランスの新印象主義と比較される。キャンヴァス上に異なる純粋色を並置し、より明るく鮮やかな色彩を網膜上にもたらそうとするのが筆触分割の原理だが、イタリアの分割主義者はこれを経験に即して採用し、絵具の混色や厚塗り技法との組み合わせで精緻な画面をつくりあげた。点描ではなく線条の筆触が好まれたのも特徴のひとつで、描写は写実性が強く、身近な現実世界、統一後のイタリアが直面した社会問題、あるいは現実から離れた観念的、幻想的世界などが主題となった。とりわけ象徴主義や神秘主義との結びつきは強く、多くの画家が光の表現に内面の探求という側面を重ね合わせた。精神性を重んじる風潮は、19世紀末に興隆した実証科学主義からの反動、ローマからミラノへと波及したラファエル前派の流行が後押ししたものと考えられる。印象派の動向すらも本格的に伝えられていなかった当時、新印象主義についての情報を海外から仕入れたのは、画商、画家にして理論家のV・グルビシーである。ミラノからスイスに拠点を移したG・セガンティーニも、グルビシーの助言により1886年頃から筆触分割による制作へと向かう。91年の第1回ブレラ・トリエンナーレでは、セガンティーニの《2人の母》とG・プレヴィアーティの《母性》をはじめ、A・モルベッリやE・ロンゴーニの作品が賛否を呼び、分割主義の存在を公衆に知らしめる重要な年となった。そのほかの代表的な画家に、G・ペリッツァ・ダ・ヴォルペード、P・ノメッリーニなど。G・バッラ、U・ボッチョーニ、C・カッラといった未来派の画家たちも、活動の初期に分割主義を経由している。マッキアイオーリと未来派を繋ぐ前衛美術として、重要な位置を占める流派である。

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補足情報

参考文献

『アルプスの画家セガンティーニ = Giovanni Segantini 光と山』,NHKプロモーション編,NHKプロモーション,2011
「セガンチーニ展 アルプスの牧歌と幻想」展カタログ,兵庫県立近代美術館編,神戸新聞社,1978