プライマリー・ストラクチャー
- Primary Structures
- 更新日
- 2024年03月11日
比較的単純な幾何学形態で構成された1960年代の彫刻の傾向のこと。66年にニューヨークのジューイッシュ・ミュージアムで開催された「プライマリー・ストラクチャーズ:アメリカとイギリスの若手彫刻家たち」展によって展開された概念。42名の新鋭作家が選出され、同館学芸員のキナストン・マクシャインのキュレーションにより組織された。展覧会の発案はマクシャインと批評家のL・リパードによるものである。両者は当時の彫刻に共通して施された彩色表現にも注目し「原色(primary color)」の意味に倣い、色彩とミニマルな形態による効果を「構造(ストラクチャー)」の語のもとに捉えようとした。ミニマリズムの代表的作家であるD・ジャッド、R・モリス、R・ブレイデン、R・グローブナーの大型作品が一室に集めて展示されるなど、ミニマリズムのイメージは、この企画によって一般に浸透してゆくことになる。しかし総体としては、具体的な対象を想起させるように曲線や流線型を用いた作家たちや、キュビスム的なコンポジションを採用していたA・カロなどが出品していたため、展覧会の内容自体がミニマリズムのイデオロギーと完全に合致するわけではない。
補足情報
参考文献
Other Primary Structures (Jewish Museum),Jens Hoffmann,Kynaston McShine,Jewish Museum,2014