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マスキング

Masking
更新日
2024年03月11日

表現したい範囲とそうでない範囲の境界をつけること。もともとは絵画や写真などの平面の画面上で、不必要な部分を覆う(マスクする)ことから、その名がついた。特定の範囲だけ塗りたいときに、マスキング・テープという粘着性の弱いテープで、その外側を覆って、絵具が付かないように前処理しておくことを指す。アンディ・ウォーホルやブリジッド・ライリーらは、シャープなエッジを表現するためにマスキング・テープを多用している。彼らはまっすぐ絵具を塗るために、塗らない部分との境界を仕切る目的でマスキング・テープを使った。塗る/塗らない部分を曲線で分けたりより細かく作業するときには、合成ゴムをアンモニアに溶かした液体であるマスキング液も有効である。マスキング液は乾くとゴム状になるため、絵具を塗らないで残しておきたい部分にあらかじめ塗っておくと、後から簡単に剥がすことができる。下地を残したいときだけでなく、すでに色を塗った部分と周囲の色との差をつけたいときにも、テクニックとしてマスキング液を使うことがある。なお近年、無地ではなく絵柄が施されたマスキング・テープが流行しており、本来の目的から離れて、装飾などに使われている。

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参考文献

『アートテクニック大百科 素描・遠近法・水彩・パステル・油絵・アクリル・ミクストメディア』,レイ・スミスほか(夏川道子ほか訳),美術出版社,1996
『絵画表現のしくみ 技法と画材の小百科』,森田恒之監修,美術出版社,2000