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マネキン

Mannequin(仏、英)
更新日
2024年03月11日

衣服を陳列するために使う等身大の人形。18世紀半ばに服を掛けるための原寸大の半身像が初めて登場するが、籐製で立体的なハンガーのような形状をしていたため、軽すぎて安定性に欠けていた。以後、皮で重しを付けたり、ブリキ製のものがつくられるなど、改良が重ねられ、1849年には、フランスのアレクシス・ラヴィーニュが、顔や手足の付かない上半身マネキンを完成させた。また、ラヴィ―ニュの弟子のフレッド・ストックマンが19世紀半ば過ぎに、ボディの測定値とシルエットを規格化したほか、ポーズの変更が可能な、指や腕、足などに関節を備えたマネキンを開発した。さらにオランダ出身のピエール・イマンスが、1900年のパリ万博で蝋製のリアルな顔立ちをしたマネキンを発表し、11年のトリノ博で、腕が取り外せ、衣服の脱着が簡単にできるマネキンを発表したことで、人間そっくりのマネキンが一応の完成をみる。また、25年にパリで開催されたアール・デコ博覧会で、パリのマネキン専門メゾン「シエジェル」が、金や黒、赤など、実際にはありえない肌の色を施し、フォルムを抽象化したマネキンを発表して以降、高い芸術性を追求したマネキンの製造も始まった。第二次大戦以降は、世界規模でマネキンの大量生産が本格的に始まり、素材、デザイン面においてさまざまなヴァリエーションのマネキンがつくられるようになった。今日では、衣服の展示という用途にとどまらず、ブランドの世界観を担う重要な表現媒体としてオリジナルのマネキンを使用するケースも多い。なお、化粧をしたり、衣服を身に着け、商品の宣伝・販売をする女性のことを、フランス語読みで「マヌカン」と呼ぶこともある。

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補足情報

参考文献

Mannequins,Nicole Parrot,Ed.,Colona,1982
『マネキンのすべて』,日本マネキンディスプレイ商工組合,1996