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ミメオグラフ/謄写版

Mimeograph
更新日
2024年03月11日

孔版技法の一種。ヤスリの上に置いた鑞紙(原紙)をヘラや鉄筆などで引っ掻くことで網点状の穴をあけて製版する。枠に張った絹などの下にこの版を置き、ローラーによって紙に印刷する。原理はT・エジソンが1861年に発明し、19世紀末に現在の形をとるようになった。日本では1894年に堀井新治郎が発案。製版時の作業音に由来する「ガリ版」の名で普及し、印刷装置の手軽さのために戦後から写真複写(コピー)が安価となった1980年代頃にかけて、学校の配布物、台本、同人誌など主に文字の複製において多く利用された。77年に理想科学工業が発売して大ヒット商品となった「プリントゴッコ」は、閃光電球の光で原紙に穴をあける謄写版の応用。版の耐久性が弱いことから大量印刷ができないが微細な印刷が可能で、20年代からは版画技法としても使用されるようになった。日本では若木八十を先駆けとして、この技法の繊細さを活かした福井良之助が有名。

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補足情報

参考文献

『版画事典』,室伏哲郎,東京書籍,1985
『改訂版 版画の技法と表現』,町田市立国際版画美術館編,町田市立国際版画美術館,1991
『ガリ版文化史──手づくりメディアの物語』,田村紀雄、志村章子編,新宿書房,1985