モダンガール
- Modern Girl(Moga)
- 更新日
- 2024年03月11日
関東大震災(1923、大正12年)後の東京における新興風俗として注目された洋装・断髪の女性を意味する言葉で、大正末から昭和初期にかけての流行語のひとつ。しばしば「モガ」と略される。また、男性の場合は「モダンボーイ(モボ)」と呼ばれ、併せて「モボ・モガ」と総称されることもある。当時の言説において、「モダンガール」は、「洋装」「断髪」「濃い化粧」などの外見的特徴に加え、「享楽的」「軽薄」「不品行」「貞操意識が低い」といった属性を持った女性として表象されたが、一方で、当時の大衆メディアや広告においては、洗練された「モダンガール」の図像が氾濫を見せた。現在では、単純に、それらの図像に共通して見られたイメージを指して「モダンガール」と言うことが多く、また、そうしたイメージに合致する装いで写真に収められた昭和戦前期までの女性が、当時の彼女たちの自己認識とは無関係に、「モダンガール」と形容されることもある。「モダンガール」というものを正確に捉えるためには、以上のような、言説としてのモダンガール、イメージとしてのモダンガール、そして当時や現在においてモダンガールとして名指された実在の女性という三つの次元を想定する必要があり、これらを混同すべきではない。
補足情報
参考文献
『大正文化 1905-1927』,南博、社会心理学研究所,勁草書房,1987
『モダンガールと植民地的近代 東アジアにおける帝国・資本・ジェンダー』,伊藤るり、坂元ひろ子、タニ・E・バーロウ編,岩波書店,2010
The New Japanese Women: Modernity,Media,and Women in Interwar Japan,Barbara Hamill Sato,Duke University Press,2003