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モデリング

Modeling
更新日
2024年03月11日

彫刻の技法には、主にカーヴィング(彫)とモデリング(塑)がある。石や木といった素材を削っていくカーヴィングと異なり、モデリングは粘土などの可塑性のある素材を用いて、付け足すことと削ることを繰り返して作っていく。こうしたプラスとマイナスを繰り返す制作手法は、実際に形にしながら試行錯誤ができるというメリットがある。イタリアの彫刻家V・ラグーザが来日し、1876年に工部美術学校で彫刻を教え始めたときから今なお、多くの美術教育の現場でモデリングは大事なカリキュラムとされている。西洋だけでなく、日本でも奈良時代からモデリングの手法はあった。東大寺の《日光・月光菩薩像》は粘土でできた像であり、興福寺の《阿修羅像》は漆(うるし)と木の粉を混ぜて粘土状にした木屎漆(こくそうるし)でつくられた乾漆像である。近代以降のモデリングの塑像は、シュロ縄を巻いた芯棒に粘土をつけた造形物である。それを塑像原型として石こうで型どりをしたあと、ブロンズやFRP(繊維強化プラスチック)を鋳(い)込み、像はでき上がる。焼成があるテラコッタの場合には芯棒を抜いて中を空洞にしたり、北村西望や淀井敏夫は柔らかい石こうのまま芯棒につける「石こう直付け法」を編み出したり、素材や作品・作家によってモデリングのテクニックは多岐多様にわたる。また、コンピュータ上の3DCGの技法でも、モデリングという言葉は使われる。この場合のモデリングとは、ポリゴンと呼ばれる多角形を構成して量感を表現することである。つまりヴァーチュアルな画面上であるものの、彫刻のモデリング同様に、三次元立体を組み合わせることを意味している。

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参考文献

『CGWORLD+digital video』2010年5月号,ワークスコーポレーション