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ユニット派

Unit Group
更新日
2024年03月11日

数名で共同設計に取り組む建築家たちのこと。2000年に批評家の飯島洋一が論考「『崩壊』の後で──ユニット派批判」(『住宅特集』2000年8月号に掲載)のなかで命名した。ユニット派として名指しされたのは、みかんぐみやアトリエ・ワンなど、当時はまだ30代の1960年代生まれの建築家たちである。単一のリーダーが舵をとるアトリエ系建築事務所と異なり、ユニット派は明確なトップをもたない。性別や国籍にとらわれず、カップルや夫婦の組み合わせも多い。そのようなイーブンで緩やかな関係性が成立した要因のひとつに、パソコンや携帯電話などの普及により、コミュニケーションが以前よりも容易になったことが挙げられる。なお先述の飯島論文は、もともと建築評論家の五十嵐太郎が『SD』1998年4月号の若手建築家特集に寄せた巻頭論文を受けて書かれたものである。ユニット派の理念のなさを否定的に評価する飯島に対し、五十嵐はその論点を整理したうえで反論を行なった。この一連の展開はユニット派論争と呼ばれる。

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参考文献

『住宅特集』2000年8月号,「『崩壊』の後で ユニット派批判」,飯島洋一,新建築社,2000
『現代建築・テロ以前/以後』,飯島洋一,青土社,2002
『SD』1998年4月号,「越境するアーバン・トライブ」,五十嵐太郎,鹿島出版会,1998