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ユルバニスム

Urbanisme(仏)
更新日
2024年03月11日

スペインのI・セルダが理論書『Teoría General de la Urbanización』(1867)で提唱した「ウルバニズム」の南欧語圏での語源。仏語表記の初出は1910年ヌーシャテル地理学会報でのP・クレルジュの論文題名とされる。建築・都市の分野では、ル・コルビュジエが25年に出版した著書名として一般に知られる。P・ラヴダンは『ユルバニスムとは何か』(26)で、都市環境、現象の一般的研究であり、歴史、地理、社会、経済、法律、芸術等多分野を包括する学問とした。一方でG・バルデは「ユルバニスムの誕生」(33、雑誌『Urbanisme』所収)において、「ユルバニスム」という言葉が英語の「town-planning(都市計画)」や「civic-art(都市美)」、ドイツ語の「städtebau(都市計画)」などとは完全に対応しないことを指摘。またこの単語が一般辞書に掲載されたのが30年代以降であったことなど、この時期の「ユルバニスム」の言葉の定義の揺らぎは、この語が都市の「計画」以上の広がりのある意味を包含し、既存の都市や今後都市化する場所に対する包括的な対処法、思考、理念、概念を提示する手法であったことが原因として考えられる。近年まで日本においてユニバニスムは「都市計画」と同義と捉えられてきたが、そうした背景を考えれば今後訳語やその定義の見直しの必要が出てくるだろう。都市計画に対応する言葉として「プラニフィカシオン・ユーバン」という言葉がある。

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参考文献

La théorie générale de l’urbanisation(仏訳) ,Ildefonso Cerdá(Antonio Lopez de Aberasturi訳),Europan,2005
『ユルバニスム』,ル・コルビュジエ(樋口清訳),鹿島出版会,1967
『パリ都市計画の歴史』,ピエール・ラヴダン(土居義岳訳),中央公論美術出版,2002