ライカ
- Leica
- 更新日
- 2024年03月11日
ドイツのエルンスト・ライツ社が1925年に発売を開始した小型カメラ。ライツ社に雇われた機械学者、オスカー・バルナックが開発に携わり、「ウル・ライカ」と呼ばれる初代試作機が1914年に完成。改良を重ね、35mmフィルムを使用する市販モデル「ライカA型」へと辿りついた。翌26年には「ライカB型」が発売され、その後も「C型」「Ⅱ型」「Ⅲ型」など、多くのモデルが発表された。軽量で機能的な小型カメラの登場はフォト・ジャーナリズムの世界に大きな変化を与え、アンリ・カルティエ=ブレッソンなど多くの写真家がライカを携えて世界中を飛び回った。日本では、ドイツ人のパウル・シュミットが1896年に東京で創業した「シュミット商会」が代理店となって販売し、木村伊兵衛などが好んで使用した。当時のサラリーマンの月給で数カ月分に相当する高価なカメラであったが、憧れのカメラとして人気を集め、1934年にはARS(アルス)社から雑誌『月刊ライカ』が刊行されるなどした。第二次大戦が勃発すると、ライツ社はドイツ軍に協力して製品開発を行なったが、爆撃による工場の被害は少なく、敗戦後はいち早く生産・輸出を再開し、「ライカM3」など、多くの名品を発表した。その後、一眼レフカメラ市場への進出が遅れたために経営は低迷、74年にはスイスの光学機器メーカー・ウィルド社の傘下に入る。2006年にはデジタル・レンジファインダー・カメラ「ライカM8」を発売、デジタル・カメラ分野に進出した。
補足情報
参考文献
『ライカとその時代』,酒井修一,朝日文庫,2000
『ライカ、写真によるその歴史』,ジェームス・L・ラガー,朝日ソノラマ,1996
『ライカ物語』,中川一夫,朝日ソノラマ,1997