ランドスケープ・アーキテクチャー
- Landscape Architecture
- 更新日
- 2024年03月11日
ランドスケープ分野における実践、およびその学問領域の名称である。「ランドスケープ」という言葉自体が、庭園のようなごく小さな空間からより大きな風景まで、景観を構成するあらゆる要素を包含するものであり、また時代や専門分野ごとに使用法が異なるため、必然的に「ランドスケープ・アーキテクチャー」という言葉が持つ意味も非常に幅広いものとなっている。日本における学問領域としては、大きく園芸学や生態学、植物学などを含む農学系と、都市計画学、建築計画学、心理学、美学などを含む建築・芸術系の二つの系統に分かれている。そもそも「ランドスケープ・アーキテクチャー」という言葉は、1859年にマンハッタンに開園した《セントラル・パーク》の設計者であるF・L・オルムステッドが、「ランドスケープ・アーキテクト」を自称したことに端を発する。馬車と歩行者の動線を分離した道路計画や、植栽のための徹底的な土壌改良、既存地形や露岩の利用など、さまざまな工夫が凝らされた《セントラル・パーク》の設計により、植生や地形、交通計画や建築など、幅広い要素を取り扱う新たな分野としての「ランドスケープ・アーキテクチャー」が成立したとされる。現在では、自然環境保全や生物多様性の確保などのエコロジーの観点や、癒し効果やバリアフリーなどの医療福祉の視点、地域の歴史・文化を含めた景観の考え方などから、建築や土木、都市計画分野に限らず多方面においてその重要度を増しているといえる。
補足情報
参考文献
『ランドスケープ批評宣言』,landscape network 901編,INAX出版,2006
『ランドスケープアーキテクチャーの起点』,森山雅幸編著,ぎょうせい,2007
『ランドスケープアーキテクチュア 環境計画とランドスケープデザイン』,ジョン・オームスビー・サイモンズ、バリー・W・スターク(都田徹、Team 9訳),鹿島出版会,2010
『テキスト ランドスケープデザインの歴史』,武田史朗、山崎亮、長濱伸貴編著,学芸出版社,2010