レリーフ
- Relief(英), Rilievo(伊)
- 更新日
- 2024年03月11日
平面を彫り込むか平面上に形態を盛り上げて起伏を与え、図像や装飾模様を表わす造形表現、およびその作品。浮彫りとも言う。イタリア語で「突出部」「浮彫り」などを意味する「リリエーヴォ(rilievo)」に由来し、その語源はラテン語の動詞relevare(「浮き彫りにする」の意)。丸彫り彫刻に背景を添えたような三次元性の強いものからほとんど凹凸のない浅い彫りのものまでさまざまな段階があり、突出部の度合いに応じて「高肉彫り」「中肉彫り」「低肉彫り」(もしくは薄肉彫り、浅肉彫り)の三つに区別される。イタリア・ルネサンス期の彫刻家ドナテッロは「リリエーヴォ・スキアッチャート(rilievo schiacciato)」と呼ばれるごく浅い浮彫りの創始者であり、微妙な大気の表現を可能にした。また、図像が地の部分から手前に浮き上がるレリーフを「陽刻」と言い、反対に図像が地より低く彫りくぼめられたものを「陰刻」、あるいは「インタリオ」「沈め彫り」と呼ぶ。19世紀ドイツの彫刻家ヒルデブラントは、浮彫りの表象する空間が現実の奥行き量に左右されず全体との関係において決定するゆえに独自の存在理由を持つとし、絵画、建築にも通底する造形芸術の原理を見出した。20世紀になると絵画と彫刻の中間的様態としてレリーフの表現性が拡張、1913年にコラージュの発展形としてピカソが始めた木や金属によるレリーフ、戦後では80年代にフランク・ステラが開始したレリーフ・ペインティングなどが有名である。
補足情報
参考文献
『造形芸術における形の問題』(再版),アードルフ・フォン・ヒルデブラント(加藤哲弘訳),中央公論美術出版,2005