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2010年12月15日号のバックナンバー
フォーカス
2010年のアートシーンを振り返る
[2010年12月15日号(村田真/福住廉)]
2010年の最後の特集として、本サイトでレビュアーを務めていただいている村田真氏と福住廉氏に今年のアートシーンを振り返ってもらいました。美術作家、展覧会、美術館、キュレーター、書籍から見えてくる2010年の姿とは?
キュレーターズノート
国立美術館巡回展/FLAT LAND──絵画の力/實松亮+安部貴住「循環と置換」
[2010年12月15日号(中井康之)]
その昔、アーノルド・ハウザーの『芸術と文学の社会史』という著作によって、西洋美術の大きな流れを社会構造の変化から説明し、経済・社会という下部構造の反映として上部構造の文化・芸術をとらえるという考え方が示されたことがあった。同書が著された20世紀中葉においては、そのようなマルクス主義的な「弁証法的唯物論」によって芸術史を解き明かすことができるのは近代以前の下部構造が盤石なものとして認識されていた時代までで、生産力の増大によって下部構造にさまざまなレベルで矛盾が露呈して上部構造が変革され、20世紀後半にはそのような旧体制的な思考は無化されてしまうといった言説が、特に文化人といわれる層を中心に真剣に論じられていた。
ヒロシマ・オー/カラコン/きのこアート研究所
[2010年12月15日号(角奈緒子)]
広島市内に残る被爆建物のひとつ、旧日本銀行広島支店を会場に、「ヒロシマ・オー──広島の育むアート」展が開催されている。展覧会と同じ名を持つ実行委員会は2006年に発足、以降「広島の芸術・文化の更なる普及・発展を目指し」、継続的に活動を続けているという。私はこの実行委員の主体がいったい誰なのかまったく知らずにいたのだが、先日、オープンの日に足を運んだ会場で参加している学生たちと出会い、彼らこそが発起人であることを知った。
アート・アーカイブ探求
伊庭靖子《Untitled》──インティメートな空気感「是枝 開」
アートプロジェクト探訪
アートシーンや地域に風穴を開ける「遊工房アートスペース」
[2010年12月15日号(白坂由里)]
六本木のように華やかでもなく、秋葉原のように異色でもない、東京のごく普通の住宅街にある「遊工房アートスペース」。アーティスト・イン・レジデンス(AIR)と非営利ギャラリーでの展覧会を平行して通年行なっているオルタナティブスペースだ。また、地域と連動して、毎年春と秋には、近くの都立善福寺公園を会場とした野外アート展「トロールの森」を開催している。ディレクターを務める村田達彦、弘子夫妻に、2011年に10周年を控えるにあたり、これまでの活動について尋ねた。