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2015年10月01日号のバックナンバー

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ついにオープン、これからが肝心 —— 韓国光州 アジア文化殿堂

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[2015年10月01日号(コ・ジュヨン)]

 ここ数年、海外の知人に会うたびに聞かれた質問がある。「アジア芸術劇場はどうなっている?」。その質問は国内でも同じで、仲間たちが集まるといつも「アジア芸術劇場、どう思う?」と。私は今年に入るまでは何の関わりもなかったのに、「韓国」の舞台芸術業界で働いているというだけで、答えを求められていたのだ。聞き覚えのない、韓国人ですらあまり行ったことのない光州(グァンジュ)という都市に、なんと「アジア文化中心都市」を掲げて、莫大な国の予算で何かが作られているという話に、誰もが驚くのはむしろ当然だろう。彼らの見せる驚きの中には本物の好奇心があり、それと同時に皮肉もあったことにも気づいていた。
 そして、2015年9月、噂の絶えることのなかったアジア芸術劇場がついにそのベールを剥いだのだ。

キュレーターズノート

「passage 永遠の一日」「化け物展」「PHASE 2015 COMPANY」「青森EARTH2015 みちの奥へ」

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[2015年10月01日号(工藤健志)]

 
 「明日の、時の長さは?」
 「“永遠と一日”よ」

 死を迎える詩人に亡き妻はそう答える。テオ・アンゲロプロス監督による『永遠と一日』の印象的なラストシーンである。過去と現在と未来、そして夢と現実が交錯する、この詩的イメージの世界に着想を得た「passage 永遠の一日」展。国内外の作家が青森に滞在し制作を行なう、2015年度のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムとしてサンドラ・シント(ブラジル)、風間サチコ、永岡大輔、ギル・イェフマン(イスラエル)の4名が招聘され、展示空間に「時」をめぐる四つの物語がインストールされた。

「戦後日本美術の出発 1945-1955」「アーツでであう、アートでむすぶ in まえばし」「ここに棲む」

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[2015年10月01日号(住友文彦)]

 今年は戦後70年を意識した展覧会が各地で多く行なわれているが、どのような視点によって振り返るのかによって歴史の書かれ方は当然異なる。従来の見方をなぞるだけでなく、新しい視点によって歴史を豊かに複数化させる機会となることをそれぞれの展覧会企画者は望んでいるだろう。それはこの時点ではまだ継続中の試みだと思うが、もう少し経ってから気づくと戦後美術の見え方が一層厚みを持つものになっていることを期待したい。

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