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2014年04月01日号のバックナンバー
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ベトナム大都市の現在──写真集『ホーチミン・メガシティ』
[2014年04月01日号(岩元真明)]
2014年2月、写真集『ホーチミン・メガシティ(原題:TP. Hồ Chí Minh: MEGA City Photo Book)』
が出版された。急速な経済発展と近代化を遂げつつあるベトナムは投資・観光・文化など各方面から注目を集めているが、その都市や建築の現在を描いた書物は驚くほど少ない。ドイツの研究者たちを中心として制作された『ホーチミン・メガシティ』は、600点を超える豊富な写真を通してベトナム最大の都市ホーチミン市の現状を生き生きと伝える極めて貴重なドキュメントである。キュレーターズノート
グループ「幻触」と石子順造 1960-1971
[2014年04月01日号(工藤健志)]
この夏から青森県立美術館、静岡県立美術館、島根県立石見美術館という3館の共同企画で、「美少女の美術史」という展覧会がスタートする。本展覧会は2010年に同じ3館で開催した「ロボットと美術──機械×身体のビジュアルイメージ」の続編という位置づけで、「ロボット」に続いて、今回は「美少女」をテーマとし、美術、文学、漫画、アニメ、フィギュアなどさまざまな領域を横断しながら、過去と現在の日本の文化について考えるという企画。現在、3名の学芸員がドタバタと全国をまわって準備を進めているが、そろそろカタログも作り始めなきゃということで、先日、静岡県美に集まり鼎談の収録を行なった。なぜ静岡に集まったのか……、まず参照できる資料があること、地理的に3館の真ん中に位置しているので集まりやすいことなどいろいろ理由はあるのだが、なによりも個人的には静岡県美の単独企画展である「グループ『幻触』と石子順造1966-1971」を見たかったから。はたして、予想を遥かに越える刺激に満ちた展覧会であった。ゆえに今回は東北ネタではないものの、本展について書いてみたい。
シンポジウム「アジアの美術館の未来」、「Art Meets 01 津上みゆき/狩野哲郎」、「白川昌生 ダダ、ダダ、ダ──地域に生きる想像☆の力」
[2014年04月01日号(住友文彦)]
今回は展覧会ではなく、私がパネリストとして参加したシンポジウム「アジアの美術館の未来」で話し、当日のやり取りを経て考えたことを書かせていただく。これは学習院女子大学が美術評論家、美術館関係者、経営者などを国内外から招聘して約半年間かけて行なわれた「アートマネジメント国際セミナー」のひとつである。実際にどのような話がされたかは自分が参加した回しか知らないのだが、こうした国際的な議論の場が日本では他のアジアの国と比べても少ないと感じていたので、企画者の清水敏男氏の尽力によって貴重な事業になったのではないだろうか。一方で、どうしても海外からの参加者が多いシンポジウムにありがちなように、事前に議論の方向性や論点が整理されず、それぞれの話がうまく重なり合って互いの意見交換が行なわれたとは言い難く、各パネリストの話を反映した全体的な報告ではなく、あくまで私自身が考えたことを記すにとどめる。