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2014年06月01日号のバックナンバー
フォーカス
失われた作品を求めて──ナチスによる略奪とグルリット・コレクション
[2014年06月01日号(木村浩之)]
第二次世界大戦後半のヨーロッパ。そこには、ナチスによる略奪や破壊から文化財を守る使命を負った兵士たち──美術・建築分野の専門家たちを含むメンバーで結成された──がいた。戦後も、彼らは隠された文化財を探し出す役目を担った。「モニュメンツ・メン」と呼ばれた彼らの存在と業績は、ジョージ・クルーニー、マット・デイモンらが出演する同名の映画が公開(2014年2月)されたことで、広く知られるようになった(邦題『ミケランジェロ・プロジェクト』)。
この大戦により、数えきれないほどの文化財が失われたが、その一方で、破壊を逃れた文化財もある。しかし、元の所有者が特定できない作品もいまだ多く、また、その存在すら知られていない作品も相当数あると言われている。それらはもとの所有者に返却されるべきとされているが、戦後70年になろうとしている現在も、まだその作業は終わっていない。
2012年、ドイツで「戦後最大級」と言われる、約1,500点もの膨大な「疑わしい」作品群が個人宅で見つかった。この事件の完全な解決までには、まだしばらくかかると見られているが、現在までの進展を振り返ってみたい。
キュレーターズノート
風の沢ミュージアム「泉田之也展」
田中信太郎+岡崎乾二郎+中原浩大「かたちの発語」
[2014年06月01日号(能勢陽子)]
1940年生まれの田中信太郎、1955年生まれの岡崎乾二郎、1961年生まれの中原浩大の、世代や制作背景の異なる3人の作家による展覧会は、作品が相互に連関するよう配置されるのではなく、それぞれがワンフロアを使用して、カタログも個別に作成された、いわば三つの個展が同時に開催されるような形式を取っていた。