アクション!

いつもislandの活動のことを書いているので、今回は、最近思っていることをつれづれなるままに、書こうと思います。

先日「小金井アートフルアクション」でリレートークによんでくださって、お話ししてきました。

私のケースは本当に一事例で、何か小金井のみんなに役にたてることはないかと思って、みんなのお話を聞こうと思いました。

それでおっしゃっていたのが「平和で特にアートなどなくても生きて行ける小金井で、さらにアートで何ができるのか?」ということ。

そうですよね。生きて行くだけだったら、衣食住あれば足りますもんね。

それと同じことを、私は「KOSHIKI ART PROJECT」に行って思いました。

去年私は、はじめてフリーの立場になって、改めて自分がなぜアートに関わるのか、どうやって関わって行くのか、考える時期が来たと思います。そして行ったのが、「混浴温泉世界」や甑島でした。

甑島は、島民は漁をしたりして過ごしていて、それでもう平和。成り立っている。その中で、甑島出身の平嶺くんが成人式の日に「僕はアートで島を盛り上げる」そう宣言してはじめた「KOSHIKI ART PROJECT」。

作家さんは、そんな中に入って行って改めて自分の表現のあり方を考える。大きな自然の前で、アートなど必要ない島の中で、材料の手に入れづらい状態で、それでも自分は何をつくるのか?

そぎ落とした中で、それでも伝えるものがあるならば、その人はどこでもつくるだろう。そう思う。だから、甑島で作家は試されることになる。自分は社会に対して何を伝えて行くのか?どう伝えて行くのか?

私はそれを誰より気がついて、彼らが気づいたことを代わりに伝えて行く、つないでいく役割があると思ったのでした。私はそれを見つけて行く過程を作家との話の中で促したり、手伝ったりできないかとも思いました。そして、藤浩志さんと塾みたいなことをしたり、インタビューをさせてもらったり、平嶺くんとの相談の中で、役割をみつけていった。そして、伝えるために、TABにも記事を載せてもらいました。

面白かったのは、そうして作品に出会うことで、島の人たちが触発されて、制作意欲が湧いたとのこと。いろんなかかしができたり、神社を保存する活動が生まれたり、文化を大事にしようという空気が生まれたそう。

そんなアートの社会への貢献の仕方もあるんだと思いました。

「混浴温泉世界」特に私がいたのは「わくわく混浴アパートメント」でしたが、そこでも考えたことがありました。

そこはただ場があるだけで、何をしろと言われないし何かしなければならない訳ではない。それでも作家として、あるいは作家以外の人が来たとき、何をしていくのか、かえって試されることになる。

私は何も立体や平面やを書く訳ではない。だからそこにいても「展示」をすることはない。だが目の前に何かを伝えたくて表現する人々がいる。ならば自分は何をするか?

ともあれできていく目の前の表現を知り、人を知り、そして受けた感動を、気づきをまた伝えて行くこと。それをすべきだと思ったのです。その伝え方は、文字もあるだろうし(TABに別の記事を書いています)展示という方法もあるだろうし(それがislandの展示に生きていると思います)、その表現によってやり方自体を開発して行くべきだと思うのです。

「わくわく」をみて思ったのは、彼らに動かされて他にも、毎日おにぎりを持ってくるおじさん(山本さんというとてもキュートな方)が現れたり、何もなかったアパートがどのように変化して行くのか気になった人たちが、最終日には一日500人も来たりしたそう。そうして、廃屋になったような場所が、いきいきした、人の交流が生まれる場に変わっていく。

表現には、人を活性化し、つないでいく力があると私は思うのです。だから、もっと表現を社会に届けて行きたい、そして社会を活性化して行きたい、そう思うのです。

私自身も、元々は、何が自分がしたいかも、できるかも、まったくわからなかったです。人のことを知りたいと思っても、学問の上では、人がわかったことを追体験するだけ。生きている実感がすくなかったと思います。毎日生きて行けるかどうかの社会もあると思えば全く贅沢なことです。

けども、生きて行くうちに自分で抱えきれない問題もみえたり、疑問もあったりする。それを伝える方法が、アートにはあると思うのです。私がちょうど京都にいた頃、ヤノベケンジさん鬼頭健吾さん、名和晃平さん、木村友紀さんや金氏徹平さんなどが展示をなさっていました。彼らの作品をみて、私は、すごく救われました。ああ、こういう方法で伝えることができるんだ、共有することができるんだ。そう思いました。そして、自分が内側から活性化するのを感じました。

もちろん、小さい頃シャガールをみて、あるいはクレー、マティス、モネをみて、自分がここにいながら自由になれる、開放される、その喜びを感じたこともあるけれども、さらに同年代を生きていることで、さらに彼らの声を聞き、伝えて行くことができる。それが自分の役割だ、使命だと思ったのです。

きっと、私のような人が他にもいると思うのです。たくさんの人がislandを訪ねてくれます。中には手伝ってくれる人もいて、それはきっと、そのことにどこかで気がついたからだと思います。

まだまだ思う存分はやれてないし、力も微力だけれども、私は、表現者、アーティストの声をきき、その表現が社会に伝わるのを手伝って行きたいと思います。そして、それを通して、人と人、人ともの、人と場所をつないでいきたいと思います。

だから、小金井も、できること、絶対あります。「小金井アートアクション」だもん。「アクション」していくこと。私もislandのH.P.には過去のアーカイブを載せるところがEXHIBITIONSじゃなくてACTIONになっています。それぞれが、自分ができることを「ACTION」していくことで、社会に少しづつ波紋をつくっていくことができる。そう思います。

そうしたら、小金井の、鈴木さんがとてもいいことをおっしゃっていました。

「小金井は平和だけれども、そこにACTIONしていくことで、何かゆさぶる。そのゆさぶりが波紋になって、活性化を促したらいい」

そう、何かできるはず。何かしようと思ってたらできると思います。

今日は、柏でアートラインかしわの事務所でシールはりをお手伝いしていました(ほんとに少しの時間ですが)。アートラインをやりはじめたのは、柏の街自体をつくってきた石戸画材の石戸さんですが、石戸さん自らシールはりをなさっていて、一緒にはりながら、とてもいいお話を伺いました。

それは、街作りも「人」だということ。街は、あたり前と思ってみんなそこで過ごしているかもしれませんが、当たり前をつくるのはやっぱり「人」「人の思い」なんです。柏の街に誇りをもってもらいたい、いい街にしたい、そういう思いが、柏をつくってきた。

そして、これからの柏にアートが必要だって思っていらっしゃる。

そう、柏に、日本に、世界中にアートは必要だって私は思います。だから、もっとアートが社会に届くように、がんばっていきたいと思います。

ちなみに、作品を買うという行為も立派なACTIONだと思います。何かに動かされたら、感動したら、その感謝として何かをしたい、そういうことの一つが作品を買うという行為でもあると思うのです。作家さんも、その場を作っている人も、それほどの応援はないとないと思います。本当に感謝です。

そうしてまた、作品が作家の手をはなれて社会の中に役立って行く瞬間だと思うのです。だから、私は作品を販売することを、その一つ一つを人と人、人ともの、人と場が出会う一期一会の瞬間と捉え、大切にしたいと思います。

ブロガー:伊藤悠
2010年10月9日 / 00:25

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