2009年4月〜7月
今回から展覧会の準備のお話に入ります。
私がこのプロジェクトのために名古屋に来たのは2009年4月。あいちトリエンナーレは「都市の祝祭」というテーマのもと、愛知県美術館の入っている愛知芸術文化センターと名古屋市美術館の2つの美術館のほか、街中でも展示を行うことが決定していました。
トリエンナーレは2010年の8月21日からの開幕ですが、およそ1年半前からこの長者町会場で展示を行うための準備を始め、あいちトリエンナーレのプレイベントとして「長者町プロジェクト2009」という展覧会を10月からの1ヶ月間行うことになりました。この展覧会は、トリエンナーレのPRはもちろん、まちなかで展示をするためのテストケースとしての意味も含まれています。
まちなか展示で重要なポイントは地元の人の理解と協力を得ること。
1番大きなエネルギーを要するのが、会場の確保です。
空き店舗が増えている地域とは言え、通常の賃貸契約を結ぶと月額/数十万の家賃が発生してしまう地域です。もちろん、会場全てに家賃を支払ってしまうと予算を大きく上回ってしまい、ほぼ無償での提供をお願いする方針で会場探しを始めることになりました。
4月の時点で半年後のプレイベントと1年半後のトリエンナーレで使いたいので、その期間(間の期間も含めて)、無償で提供してくださいという私達の勝手な条件でのお願いはそうそう簡単には行きませんでした。。。
まずは、長者町の方々にご理解とご協力をいただくために繊維業問わず長者町の多くの会社が所属する、名古屋長者町織物協同組合の会議に芸術監督の建畠氏や長者町を担当するキュレーター、実行員委員会の県職員と共にご挨拶と説明に行きました。現代美術について、そしてあいちトリエンナーレについてのプレゼンをし、美術館だけではなく、この長者町の持つ魅力と現代美術の展示を掛け合わせた展覧会を行いたいということをお願いにあがりました。
まちの人々は「アーティストって奇抜な人達なんじゃないか?何をされるかわからない。。」、
「うちの持っている建物は古いから、多くの人が来てしまったら床が抜けてしまうんじゃないか?」などなど、最初は不安な声もいくつかありましたが、3ヶ月に渡る交渉の末、9カ所の会場を提供いただくことになりました。
この展覧会を行うために、まちづくりを推進する若手の経営者の方々、錦2丁目にサテライト教室を持つ、まちづくりの専門家/愛知産業大学の延藤教授、この地域でギャラリーを経営するオーナーらと、トリエンナーレスタッフで構成された「長者町プロジェクト2009の推進チーム」を結成し、毎週のように会議を重ねていきました。
展覧会の通常業務であるアーティストへの出展依頼、プレスリリースやチラシの制作を進め展示の準備を進めていきます。平行して、空き店舗の空間調査、町の歴史を勉強しながら、まちの人と仲良くなるためにもとスタッフ一同で地元のお祭りの御神輿を担ぐなどの活動も行っていきました。