放課後アートリサーチ 01: 北澤潤《放課後の学校クラブ》その1

こんにちは。年末ですねー。前回は小説『夏の庭』を例に、子どもたちが日常のなかで「わかりえないもの(でも、気になるもの)」と出会う仕組みをどうやってつくるのか?という問いを立ててみました。その問いの多様な解答例を、このブログの中で綴って行きたいと思います。今回は水戸市立浜田小学校で行われているプロジェクト《放課後の学校クラブ》について。

School After School TOP

放課後の学校クラブ in 浜田小学校

子どもの日常生活を形づくる中心は「学校」。彼らにとってもっとも大きな「あたりまえ」のひとつです。水戸市立浜田小学校で実施されているアーティスト北澤潤(http://junkitazawa.com/)によるプロジェクト《放課後の学校クラブ》はこの「あたりまえ」の存在である「学校」を再考し、放課後だけに現れる新しい学校をつくる、というプロジェクトです。水戸、横浜での実施を経て、浜田小学校での活動が始まりました。2011年10月からあつまった子ども部員(2~6年生)10名と大人部員6名によって、毎週日曜日の午前中に「浜田小学校コミュニティルーム」で活動が行われています。

先日12月18日(日)には、1日限定の「放課後の学校」が開かれました。「リサイクルのじゅぎょう」「音づくりの授業」「給食のじゅぎょう」「魚のじゅぎょう」「服づくりのじゅぎょう」など、子どもたちが考えたオリジナルの授業が開かれていきます。そのかたわらではポラロイドで撮影した写真をつかってリアルタイムでつくられていく「新聞」や、休み時間のレク係などがあり、授業と授業、「先生」と「生徒」の間をつないでいきます。

※当日の様子はコチラに詳しいです→

「放課後の学校クラブ http://schoolafterschool-hamada.blogspot.com/

「日和見感染 http://d.hatena.ne.jp/kimisteva/20111224/1324741154

School After School Photo 02

この日のイベントで印象的だったのは、子どもたちが戸惑いながらも自分の声、言葉で授業を進行していたことでした。大人部員たちは子どもらをおだてず、判断を待ち、彼らが決めたことを「うん、じゃあそれでいこう」と合意して活動が進んでいきます。こうした地道な合意形成を積み重ねているのだなと感じました。重要なことは、大人が子どもに知っていることを伝えるのではなく、 「大人が子どもとのやりとりの中で、自分が固執しているイメージをはがしていくこと」であると北澤さんは語ります。「新しい”学校”をつくる」という、大人も子どもも行き先を知らない冒険は、このあとどうなるのだろう?

次回へ続く。

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活動紹介02: アーティスト・イン・児童館2009北澤潤プロジェクト《児童館の新住民史》

2009年にアーティスト・イン・児童館にも北澤潤さんを招待しました。この場所で展開したのは児童館の活動をひたすら記録し続ける《児童館の新住民史》。記録それ自体が児童館の活動を批評し、また大人と子どもの新しい関係性が生まれていく過程を描き出していきます。

ブロガー:臼井隆志
2011年12月30日 / 18:09

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