令和5年度に続き、平成 12 年(2000年)に山本正之氏から寄贈いただいた中国陶磁を、約20年ぶりに展示します。417点におよぶ作品の中から厳選し、昨年は「陶器編」として、新石器時代の彩陶や漢代の緑釉陶器、唐代の三彩や墳墓の副葬品を中心に紹介しました。今回の「磁器編」では、宋代から中華民国時代にかけて、世界に多大な影響を与えてきた景徳鎮窯の作品の中から、古くから日本人に好まれた古染付をはじめとし、会期の前半では宋・元代の青磁、白磁、黒釉やその産地の窯を、後半では明・清代の鮮やかな色釉や五彩等の作品を紹介します。
会期全体を通して紹介する景徳鎮の古染付は、茶の湯の流行とともに、日本の茶人が型見本などを送って注文したと考えられているもので、山本コレクションのみどころの一つです。古染付は、やや厚手に作られて変化に富み、志野や織部の器を思わせるものもあり、美濃桃山陶の風合いを感じさせます。前期(4/27~6/30)で紹介する作品には、宋・元代を中心に、黒釉が目を引く天目茶碗を生産した建窯、庶民の器として今日まで親しまれてきた磁州窯、オリーブグリーンの深い釉調が特徴の耀州窯の他、鈞窯、龍泉窯等の各窯の特徴とともに時代を彩ったやきものを展示します。後期(7/3~9/1)には、明・清代に作られた五彩、素三彩、紛彩などの色鮮やかな作品を紹介し、絵画的な精緻さを極めた華やかな色絵磁器をご覧いただきます。
茶の湯の流行を背景に、中国陶磁と美濃焼は互いに影響し合い、現代へとつながっていきます。陶器編に続く磁器編でも、中国陶磁の中に美濃焼との関係を見出しながら、中国にとどまらない世界の歴史とやきものの変遷をお楽しみください。


【コレクター山本正之】<大正9年(1920)-平成12年(2000年)>
兵庫県淡路島に生まれ、昭和13年(1938)に伯父の経営する東京日本橋のタイル卸問屋に入社。世界中の国々を旅して集めた膨大な数のコレクションは、各地の歴史や技術を伝える貴重なもので、極めて広範囲に及びます。これらは「公共の役に立てたら」というご遺志に基づき多方面へ寄贈され、現在に至り活用されています。昭和63年(1988)全国タイル業協会会長就任。平成2年(1990)勲四等瑞宝章受章。平成8年(1996)日本建築学会文化賞受賞。

< 展 示 構 成 > 前期、後期の二部に分けて展示入替をします。
★7/2(火)は展示替えのためM1展示室を閉鎖します。
 全期間展示:古染付(景徳鎮窯、その他)、中国陶磁史 
前期(4/27土~6/30日) :宋・元時代の青磁中心に各地のやきもの  
 後期(7/3水~9/1日)  :明・清時代の発展