春日井市道風記念館は、平安時代の能書、小野道風の誕生伝説地に建つ書専門の美術館です。昭和56(1881)年11月に開館し、今年で43年目を迎えました。古代から現代、日本だけでなく中国を含めた幅広い書芸術を紹介するよう、さまざまな書の展覧会を開催しています。
 今回の企画展では、道風記念館が所蔵する書作品のなかから、現代の書の優品を展示します。ここでいう「現代」は、今を生きる私たちの時代というほどのふんわりとしたくくりで、主に昭和・平成に生きた書家をとりあげました。
 日本の近現代史において、戦前と戦後ではいうまでもなく大きな変化がありました。書の表現においても、書が会場芸術となるなどの変化により、それまでなかった新しい傾向の作品が生み出され、現在に至っています。古典を基としつつ現代に生きる漢字の書、繊細さと力強さをあわせもつ大字仮名の書、漢字仮名交じりの現代の言葉で表現する書、少ない文字数で主に線表現に主眼をおいた書、紙面構成と線表現で勝負した非文字の書など、さまざまな書表現をこの展覧会で味わっていただけます。館蔵の書作品という範囲ながらも、日本の現代の書のエッセンスをきゅっとつかめる展覧会です。