長崎県美術館と三重県立美術館が共同してスペイン美術の展覧会を開催します。両館は国内では数少ない、スペイン美術の収集と展示を標榜する美術館であり、本展では、互いのコレクションから相補的に作品を選りすぐり、未だ日本国内で広く浸透していないスペイン美術の特徴を捉え、その魅力に迫ります。
長崎県美術館は、第二次世界大戦期にスペイン・マドリードに特命全権公使として駐在した外交官の須磨彌吉郎が現地で収集したいわゆる「須磨コレクション」を軸に、中世から現代に至るまでのスペイン美術作品を多数収蔵しています。対して三重県立美術館は、バルトロメ・エステバン・ムリーリョやフランシスコ・デ・ゴヤといったオールド・マスターの油彩画作品を筆頭に、三重県とスペイン・バレンシア州との姉妹提携をきっかけに収蔵されたバレンシアの現代作家らによる作品群を加えて独自のスペイン美術コレクションが形成されています。
古来、スペインでは豊かな芸術文化が育まれ、独自の美術史が編まれてきました。しかし、これまで日本国内ではゴヤ、パブロ・ピカソ、ジュアン・ミロ、サルバドール・ダリといったスペイン出身の巨匠ら個人に専ら焦点が当てられ、中世から現代にいたるスペイン美術史を紹介することに主眼を置いた展覧会はほとんどなかったといえます。そこで本企画では、両館が誇るコレクションを結集してスペイン美術の精華を伝えることを目指します。また、「神秘」や「光と影」といった同国の美術史を読み解くためのキーワードによって各章を構成し、スペイン美術の入門編として100点を超える出品作品からその幅広い魅力を伝えます。[美術館サイトより]