齋藤畸庵(さいとうきあん)(1805-83)は、幕末から明治にかけて活躍した城崎(きのさき)(兵庫県豊岡市)生まれの文人画家です。幼くして耳を患ったことから詩や絵画に心を寄せるようになったという畸庵は、兵庫県内のみならず四国、九州を旅して多くの人びとと出会い、詩画の腕を磨きました。晩年には活躍の場を東京に移し、79 歳で没するまで数多くの山水画を描きました。彼の作品は、緻密でありながらも俗気がないと評価されました。

令和 4 年、長年にわたり齋藤畸庵の研究と作品収集をしてこられた関茂昭(せきしげてる)氏より、畸庵の書画コレクションが兵庫県立歴史博物館に寄贈されました。この展覧会では、関茂昭氏のコレクションを中心に、関連する資料を交えながら畸庵を紹介し、知られざる郷土の画家・齋藤畸庵の魅力に迫ります。