2009 年に神戸に開館したBB プラザ美術館は、2024 年7 月に15 周年を迎えます。当館コレクションは、近現代の日本・フランスの作品で形成しています。この度、前期・後期の2 回にわたり、コレクションから関西ゆかりの作家とエコール・ド・パリを核としたフランスの作家を紹介します。

前期(5/14~7/15)は、関西(兵庫・大阪・京都)を中心に活躍した作家を精選し、洋画から日本画、彫刻、陶芸作品まで多彩な世界を展観します。兵庫を代表する画家のひとりである小磯良平、大阪で結成されたデモクラ―ト美術家協会で活躍した泉茂や山中嘉一、京都に生まれ前衛陶芸を探究する三代宮永東山ら、関西を舞台に交差と交感を繰り広げた作家たちの歩みをお楽しみください。

後期(8/27~10/6)で紹介するマリー・ローランサンやマルク・シャガールらは、エコール・ド・パリ(パリ派)と称され、パリで一時代を画した作家たちです。特定の思想や様式を持ちませんでしたが、共通するのは自らのスタイルを追求し、心を注ぎつづけた姿勢でしょう。フォーヴィスム(野獣派)のモーリス・ド・ヴラマンクやアンドレ・ドラン、パリでパブロ・ピカソらと交流したサルバドール・ダリなど、彼らの作品をとおし 19 世紀から20 世紀にかけて生まれた美の潮流とその背景にある物語を辿ります。

既成の領域にとらわれることなく、国や時代を超えて活躍した作家たち同様、美術館でもこれからますます広い視野を持つ展開が待望されます。本展を、地域に根ざすBB プラザ美術館の明日への出発となる新たな一歩としたいと考えています。昨日から今日、そして明日へと移る彼らの眼差しと生きてきた時間の一片に触れることで、私たちもまたアートの旅人となり得るのではないでしょうか。