小野道風(894~966)は、平安時代中期を代表する能書(書の上手な人)です。道風の日本書道史上における功績を一口で言えば、従来の中国の書の模倣から脱して、日本風の書を創造したことです。その優美な書は和様の書と呼ばれ、後世に大きな影響を与えました。和様の書は、藤原佐理に継承され、藤原行成によって完成されたといわれ、この三人を三跡とよびます。
 春日井市では道風の偉業を讃え、後世に伝えるため、昭和56年、道風生誕の地と伝えられる松河戸町に春日井市道風記念館を開館しました。全国的にも数少ない書専門の美術館です。
 今回の企画展では、道風が書いた書だけではなく道風が手本にした中国の書にも目を向け、館蔵品や複製資料などで、小学生にもわかりやすいよう、やさしく、詳しく小野道風をご紹介します。柳と蛙の逸話にもみられる努力の尊さ、古きを学び、それを活かして新しい書を生み出した道風の革新的な精神に触れていただきたいと思います。