美濃磁器の原点であり、出発点でもある太白焼の展覧会を開催いたします。
幕末の文化年間に、瀬戸の加藤民吉が有田より染付磁器製造の技術を持ち帰り、瀬戸・美濃に瞬く間に広まりました。
この美濃染付の揺籃期のものを、太白焼(太白手)といい、素地は炻器土の上に白化粧を施し、呉須は山呉須を使って描き、素朴な作風となっています。
この太白焼の美濃における最も古い窯元は、初代加藤幸兵衛です。
その後、新製焼といわれる磁器系で透光性の高い素地に鮮やかな発色の染付へと変貌を遂げ、太白焼は自然消滅してしまいましたが、磁器製造で息を吹き返した美濃は、日本有数の陶産地として発展を遂げて行きました。
まさに太白焼こそが近代美濃焼のはじまりであったのです。
近年、太白焼については俄かに注目を集めており、岐阜県セラミックス研究所による成分分析と、古陶磁愛好家による研究の深まりによって、このたび 幸兵衛窯の開窯220年記念の機会に当館で展示できる運びとなりました。
太白焼の鷹揚で味わい深い魅力を再発見していただければ幸いに存じます。